前回、前々回と、AI(Antigravity)にお願いしてギターエフェクター(オーバードライブ、フェイザー、ハイゲインプリアンプ)を自作してきました。
僕自身はギターを始めたばかりで、何がいい音なのかもよく分かっていないレベルです。それでも「AIにお願いしたら、それっぽい音が出るプラグインが作れるのかな?」と試してみたところ、実際にペダルが3つ完成しました。
足元のペダルが揃ってくると、次に欲しくなってきたのが「アンプ」です。
エレキギターの音を出すには欠かせない機材ですし、アンプが変われば音の雰囲気もガラッと変わるイメージがあります。
「ペダルが作れたなら、アンプもAIにお願いすれば作れるんじゃないか?」
そう思い、今回はギターアンプの自作に挑戦してみることにしました。
憧れの「青く光るアンプ」を作りたい
どんなアンプを作るかを考えたときに、真っ先に思い浮かんだのが、高校生の頃から憧れていたドイツのアンプブランド「Hughes & Kettner」でした。
選んだ理由は2つあります。
1つは、高校生の頃に好きだったバンドがみんな使っていたことです。電源を入れるとフロントパネル全体が青く光る見た目がとにかくかっこよくて、澄んだ綺麗なクリーンと、歪ませたときのザクザクしたキレの良い音がずっと印象に残っていました。
もう1つは、DTMのプラグインでHughes & Kettnerのモデルをあまり見たことがなかったことです。MarshallやFenderといった定番アンプのシミュレーターはよく見かけますが、Hughes & Kettnerは意外と見当たりません。「世の中にあまりないなら、自分で作っちゃえばいいんじゃないか?」という、自作ならではの好奇心もありました。
もちろん音の詳しい回路や仕組みは分からないので、この思い出とイメージをそのままAIにぶつけてみました。
KATSUYA ARAI
ペダルの次はアンプを作ってみたい。高校生の頃好きだったHughes & Kettnerみたいに、綺麗なクリーンとザクザクした歪みが出るアンプって作れる?
作れます!Hughes & Kettnerの特徴を活かして、透明感のあるクリーン、王道のクランチ、そしてザクザク刻めるモダンなハイゲインリードの「3チャンネル構成」にしましょう。
音をさらに押し出す「BOOST」スイッチや、3バンドのイコライザー、さらにHughes & Kettnerの代名詞でもあるスピーカーキャビネットシミュレーター(Red Box)まで一通り組み込んだ本格的なアンプが構築できます。
ざっくりとした希望を伝えただけですが、AIが必要そうな機能(3つのチャンネル、イコライザー、キャビネットシミュレーターなど)をパパッと提案して組み立ててくれました。
こうして、本格アンプシミュレーター「PureMeister」の制作がスタートしました。
画面のデザインを自分好みに整える
音を処理するプログラム(C++のコード)はAIがすべて書いてくれましたが、最初に出てきた画面が正直あまり自分の好みではありませんでした。
ゴツゴツしたアンプヘッド風のデザインだったのですが、せっかく自分で使うプラグインなので、もっとシンプルで引き締まった見た目にしたいと思い、画面をガラッと作り直してもらうことにしました。
画面全体のバランスを見ながら、ボタンやノブの配置、余白を細かく調整していきました。

上段にはチャンネル切り替え(CLEAN / CRUNCH / LEAD)や操作スイッチ(BOOST / RED BOX / POWER)を整理して並べ、中央にはオリジナルの王冠ロゴを配置。下段には音を調整するための7つのノブを並べてもらいました。
アンプらしい重厚感を残しつつ、削り出しのアルミニウムをベースにした、シンプルで落ち着いたスタジオ機材のような佇まいに仕上がりました。
チャンネルを切り替えると音量差が大きい
画面が完成し、実際にギターを繋いで音を鳴らしてみたところ、1つ気になるところが出てきました。
クリーンと歪み(クランチ・リード)の音量差です。
クリーンに合わせて音量を調整していると、クランチやリードに切り替えたときにかなり音が大きくなってしまいます。
KATSUYA ARAI
チャンネルを切り替えると音量の差が結構あって、クリーンに対してクランチやリードの音が大きすぎるんだけど、これって揃えられる?
揃えられます!歪ませると波形が圧縮されて音圧が上がるためです。
実機のアンプはチャンネルごとにボリュームノブがありますが、今回はマスターノブ1つのシンプルな作りにしたため、音量差がそのまま出ていました。内部で音量バランスを自動調整して揃えますね。
AIに各チャンネルの出力バランスを計算し直してもらい、音量差を揃える処理を入れてもらいました。
クリーンだけ音が奥まって聞こえる
音量を揃えてもらった後、実際に弾いてみると、クランチやリードに比べてクリーンだけ音が奥の方に引っ込んで聞こえるような違和感がありました。
AIに伝えて調整してもらったのですが、もう一度弾いてみても……
KATSUYA ARAI
うーん、やっぱりクリーンだけ音が奥まって聞こえる気がする。なんか変わってないような……?
内部の処理をもう一度詳しく調べてみます!
AIに原因を調べてもらったところ、理由は2つありました。
フィルターの数式に符号のミスがあった
クリーンチャンネルの高音を調整するフィルターの計算式で、本来は + にすべきところが - になっていたそうです。このせいでギターの中音域が削られてしまい、音が奥まって聞こえていました。
そもそもアプリが更新されていなかった
そしてもう1つ、プログラムをアプリに変換するスクリプトに不備があり、手元で開いていたアプリが最新の状態に更新されていませんでした。
僕が「変わっていない気がする」と感じたのは気のせいではなく、本当に古いバージョンのまま動いていたわけです。
KATSUYA ARAI
変わってないと思ったら、本当に変わってなかったんだ(笑)
すみません……!一括で最新版に更新されるようにスクリプトを修正しました。先ほどの数式のミスも直して最新版を立ち上げ直しました。
スクリプトを直して最新版を起動してみると、クリーンも奥まることなくすっきり聞こえるようになり、チャンネルを切り替えても違和感なく弾ける状態になりました。
まとめ
最初は「AIにお願いしたら、それっぽい音が出るのかな?」と軽い気持ちでオーバードライブを試してみたのが始まりでした。
それがフェイザーやハイゲインへと広がり、今回の「PureMeister」ができたことで、気づけば足元のペダルからアンプまで、ギターを鳴らす環境が一通り揃ってしまいました。
ギターを始めたばかりの僕にとっては、市販のプラグインや機材をどれ買えばいいのかすら迷うところですが、いま手元には「自分の好みの見た目で、それっぽい音が一通り出せる」専用のセットが揃っています。
途中で音量差に戸惑ったり、設定のズレを直してもらったりと手探りではありましたが、自分で触りながら少しずつ完成させていった分、既製品を使うのとはまた違った愛着が湧いています。
ギターの腕前はまだまだこれからですが、自分で作った機材で音を鳴らすのが、純粋にとても楽しいです。
今回作ったアンプシミュレーター
- PureMeister(3chオールチューブ・アンプシミュレーター)
- チャンネル: CLEAN / CRUNCH / LEAD
- スイッチ: BOOST / RED BOX(キャビネットシミュレーター) / POWER
- コントロール: GAIN / BASS / MIDDLE / TREBLE / PRESENCE / RESONANCE / MASTER
- GUI: 削り出しアルミニウム調のすっきりしたデザイン


